#12に思うこと
サンアントニオ・スパーズっていうチームは、オフに目立った動きをしないのが一つの特徴だって言えると思う。
基本的には前シーズンのメンバーを引き継ぎながら、シーズンが始まってみないと吉だったか凶だったか分からないね、なんていう、所謂地味なトレードが多い。
だから、今シーズンのオフにLAを手に入れた事は、未だに自分の中で馴染んでいない。
LAは凄い選手だし、実際、ティミーとの連携も上手くいきそうな雰囲気を醸し出しているし、30歳っていう脂ののった時期というのもいい、申し分ない。
けれど、今までにあまり経験がないからか、なんだか少し後ろめたい。
それはポートランドに対するものなのか、はたまたティアゴやデコロに対するものなのかは、正直今の時点では分かっていない。
けれど、「いつもと違う」という感覚が、ほんの少しだけれど、不安だったりする。
私がフランチャイズプレーヤーを好む傾向にある一番の理由は、この不安を抱くことがなくて済むからなんだ。
コービーは自身の去就に関してかなりのお騒がせセレブだと思っているけれど、それでもやっぱり最後を迎えるにあたって、レイカーズ以外のユニフォームを着ていないというのがとても大きいと思う。
レイカーズと76ersのファイナルの記憶が、わたしのNBAで一番古い記憶なのだけれど、その時のAIの残像がいつまでも頭に残っている。
だから、あの場面で、ナゲッツに移籍をしたことは、「あぁ、一時代が終わったんだな」って寂しさしかなかった。
もちろんAI頑張れとは思ったのだけれど、それでも何だか、出ないで欲しかったっていう気持ちの方が大きかった。
だからね、私はキングが好きになれない。
優勝が欲しい、それは良いと思う。
アスリートとして、プロとして、それは彼らの使命であり、やはり究極の目標ではあると思うから。
彼がクリーブランドを後にした時は、まだ、どうにかこうにか理解ができた気がする。
でも、クリーブランドのファンは、ユニフォームを燃やしたり、大変な反響だったよね、日本じゃこうはならないから、あの光景は私の中に大きく残っている。
そしてヒートへ。
最初に断っておくと、わたしはあのチームは好きではない。
あの、ヒートは。
勝っても「それだけお金を使って勝てないほうがおかしい」と思っていたし、負けたら思いつく限りの言葉で皮肉を言っていた。
ヒートで勝った。ヒートで負けた。
「僕は、クリーブランドでやり残したことがある」
ちょっと、それはないだろう。
って。そう思った。
余りにも不愉快で、あの時レブロンに対する情報は遮断したから、実際どうだったのかは分からないけれど、アービングがいる、どうやらチームは優勝できるように環境を整えてくれるようだ、だったら戻ろう。ヒートのケミストリーは完璧とは言えないし。
申し訳ないけれど、そんな風にしか見えなかった。
それを、あっけらかんと受け入れてしまう、クリーブランドの人たちも。
わたしは、好きにはなれない。
ボストンみたいな例外もある。
だから多分、どれだけファーストキャリアのチームに長く在籍したかが、私の中では大切なのだと思う。
どれだけFor The Teamを体現して、どれだけリングが欲しかったのか。
もうそれは、主観的な判断になってしまうけれど、ファンだからそれでいいとは思っている。
LAを獲得したことは、スパーズにとって、非常に大きい事。それは間違いない。
どんなオフェンスプランが生まれて、どんなディフェンスで魅せてくれて、そして、今年はどこまで上り詰めてくれるのか。
でも、その裏にはポートランドの存在がある。
例えば、ティミーや、パーカーや、マヌが。
もしこの9年の間にどこかへ出て行ってしまったとしたら?
ユニフォームは燃やさないでほしいけれど、やっぱりどうにかできなかったのかって、寂しい気持ちにはなったと思う。
というか、そんなこと想像しただけで、苦しい。
今やスパーズの顔となっているカウィがスパーズにやってきたとき、私の大のお気に入りだった、ヒルがインディアナに出されちゃって、もうなんか悲しくて、大泣きした。
パーカーのバックアップとしては確かにまだまだだったけれど、いずれは2人でこのチームを引っ張っていくんだって思ってたから。
ファンになって初めて、ポポの馬鹿!って思った。
そんな気持ちより、きっともっと強い想いを、今も多分ポートランドのファンが抱えているのだと思うと、スパーズは、だからこそ強いシーズンを過ごさないといけない。
明日は、そのポートランドとの試合。
なんか、誰がどんなことを思って、この試合を観るのかなって。
私は、何を思ってスパーズを観るのかな。
少しずつ変わってきたスパーズだけれど、今年は確かに変革のシーズンになると思うから。
また、歴史が作られる瞬間に、立ち合いたって、そう思うよ。
2015.11.16
(#12に敬意を表して
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